GCP=協働的探究学習プログラム
「地球規模課題」とは?
現代社会が抱える即時解決困難な課題「global challenges」を指します。創価高校のSGHでは、特に2015年に国連で採択された「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」で示された持続可能な開発もための目標(SDGs)の17項目を中心に、「貧困、紛争、性差別、環境、難民」等のテーマを探求します。生徒一人ひとりが積極的・主体的にテーマを選択し、探求学習に取り組むとともに、チームとして協働的に取り組む能力をもつグローバル人材育成を図ります。
カリキュラム
1年生 (2016年度〜)
学期 | テーマ | 手法 |
1学期 | 環境 | VTR学習/マインド・マップ ジグソー法/データチャート |
2学期 | 貧困 | レクチャー「世界の貧困の現状」 貿易ゲーム |
3学期 | 食糧問題 |
「いのちの食べ方」を学ぶ 模擬国際援助会議 |
2年生 (2017年度〜)
学期 | テーマ | 手法 |
1学期 | 戦争 | セミナー「戦争体験」 ジグソー法 |
2学期 | 冷戦後の紛争 | VTR 学習/グループ学習 フィッシュボーン 留学生交流/インタビュー |
3学期 | 人権 | ディベート |
3年生 (2018年度〜)
学期 | テーマ | 手法 |
1学期 | 国際社会 | 模擬国連(1) |
2学期 | 国際社会 | 模擬国連(2) |
3学期 | Final Project |
Final Projectとは?
2年間の言語技術教育の集大成として、また、GCPの総括として卒業研究を実施します。日本語での論文を作成後、3学期には英語でのプレゼンテーションを行う予定です。
国連が2015年に採択した「2030アジェンダ」で示された持続可能な開発のための目標(SDGs)の17項目を中心に、「貧困、紛争、性差別、環境、難民」等から各自がテーマを設定し課題研究を進め、担当教員の指導を受けながら日本語での論文を作成します。そして、論文の要旨を、英語と日本語により発表を行う予定です。
GCPリーダーズ
全校で展開されるGCPの授業は、各クラスの有志である「GCPリーダー」を中心に運営されます。GCPリーダーは放課後に事前に研修を行います。この経験を通して、世界で求められているチーム力、企画力、推進力が身につきます。
GCPリーダーとして企画・運営する中で、時間を有効に使うなど、課題が見つかりました。また、映像を見ての意見共有では、いろいろな考えを聞くことができました。授業で問題を解くのとは違い、すぐ答えの出ない問題を扱うことで、会話が進みました。これからも企画がさらに充実するように努力していきます。
2016年度 活動報告
2016年05月07日実施
1・3年のテーマは「環境」です。アメリカ、中国、ツバルの三点を、同時に捉えた VTRを視聴し、環境問題が複雑に関係し合っていることを学びました。また、環境問題に関する7枚の写真を使い、ジグソー法を用いてエキスパート班でのリサーチを進めました。
発展のために環境を顧みない国、深刻化する環境問題をビジネスのチャンスにする国、そして、理由も分からず住む場所を奪われる人々、「地球は一つである」ということを強く実感できる内容となりました。
2年生は、世界史の授業と連動し、「戦争」をテーマに行いました。フィリピン・レイテ島での日本軍とアメリカ軍の決戦を取りあげ、日本兵、アメリカ兵、現地のフィリピン人、の三つの視点から戦争体験を学びました。優勢・劣勢、兵士・市民、関係なく、誰もが苦しんだ悲惨な戦争の実態を知り、戦争がもたらしたものは何だったのか、「戦争とは〇〇である」のテーマでディスカッションを行いました。「戦争とは、考えられないほど悲惨である」など、その悲惨さを強く実感できる企画となりました。
「環境問題についての映像を見て、誰も間違ったことを言っていないし、間違った行動をしていないにも関わらず、そこには明確な不平等があるように感じた。― 今回の GCPでは、世界規模の問題に、自分がどうやって関わっていけるのか考えるきっかけになったと共に “地球は一つ ”との言葉の新しい面を知った日になりました。(3年生)」「戦争とは、向かい合った相手が誰かも分からず殺し合ってしまうものだと思った。戦争をして最後に残るのは悲しみや苦しみだけだ。戦争から目を背けずに、もっと学んでいきたい。(2年生)」などといった感想が生徒から寄せられました。
2016年6月22日実施
1・3年生は引き続き環境をテーマに、環境問題リンクマップの作成に取り組みました。エキスパート班でのリサーチの中から、キーワードを 10個ずつ抽出した後、種類の違う 7枚の写真をもつジグソー班に分かれて、リンクマップを作成しました。関係が無いと思っていた様々な環境問題が、密接に繋がり合っていることや、人類の経済発展が原因となり、多様な環境問題になっていることを実感できる内容となりました。リンクマップにはグループごとにタイトルを付けましたが、「産業革命がもたらしたもの」や「 Cancer of the earth(地球の癌)」など様々なタイトルでその本質に迫ることができました。
2年生は引き続き戦争がテーマでした。特にこの企画では、オバマ大統領の広島訪問を受け、核兵器の廃絶に向けて考えました。広島の原爆投下についての学習の後、アメリカと日本の二つの視点から用意された資料を、グループごとに学び、日米の原爆投下や核兵器に対する認識を学びました。その後、日米が混ざったジグソー班で、その共通点や相違点を探りました。アメリカでは、広島への原爆投下を正しかったという人が約半数いることや、年代別に見ると若い世代は核兵器の使用に否定的であることなどを学びました。
生徒からは、「環境問題を考える中で、全てがつながっていることに気がつきました。 1つ 1つが微妙に絡み合っていて、私たちも一人一人から行動をしていくことが大事だと思いました (1年 )」「核兵器をなくすのは難しいですが、それをなくす努力を全人類がしなければならないと改めて感じました (2年 )」「 1つの環境問題を表面上で解決できてもその原因が解決されなければ意味がないとわかりました。目の前だけにとらわれず、大きな視野をもつことが大切だと感じました( 3年)」といった声が寄せられました。
2016年10月29日実施
1年生は「貧困」をテーマに、世界の市場・経済における現実について理解を深めるという目的で「貿易ゲーム」を行いました。各クラス8グループ(国家)ほどに分かれ、それぞれ与えられたものを使い、指定のルールに基づいてお金を稼ぐという設定で、世界各国間で行われている貿易をシミュレーション。自由貿易や経済のグローバル化が引き起こした、世界の格差を体験的に学びました。
2年生は、紛争をテーマに、ルワンダ内戦のような悲劇を二度と起こさないために、その実態と原因を探りました。
3年生は、環境をテーマに「 COP21」をモデルにした模擬国連を実施し、地球環境問題を取り巻く国際社会の複雑さや利害関係を身をもって学びました。
2016年11月22日実施
1年生は、世界の現状について理解を深めるという目的で「世界がもし 100人の村だったら」の詩に描かれた世界の現実を疑似体験しました。2年生は、「国際理解 ~世界の中のわたし~」とのテーマのもと、本校に勤める外国人講師に、母国と日本との文化・考え方の違いについてレクチャーを受けました。その後、日本人が日本とは全く文化の違う仮想の国に取材交渉をしにいくという設定で、異文化理解の難しさを体験しました。
12月7日に3年生は、前回 1年生が行った「貿易ゲーム」を実施しました。
2017年01月21日実施
1年生は、牛肉を通し「いのちの食べ方を問う」とのテーマで、グループワーク、パズル、クイズなどを行いました。世界の穀物が牛の飼育に使われることによって起こる貧困問題について、食肉センターで働く人を通し人権問題を、そして、畜産が温暖化などの環境問題と関わっていることを学びました。生徒からは、「今までも自分たちが食べている命について学ぶ機会はあったが、ここまで世界の様々な問題と絡めて考えることはなかったのでとても興味深かった」、「命の尊さを学びました。 “当たり前が当たり前ではない ”“当たり前を幸せと感じられる ”ことを学べる GCPを無駄にせず、視野を世界に広げ、更に学び深めていきます」といった感想が寄せられました。
2年生は、「人権」をテーマに、オリジナルの “人権スゴロク ”や映像、世界の人権問題、世界人権宣言を通し、人権について学びを深めました。生徒からは、「世界人権宣言が発表されても未だ拷問や人権侵害などの行為が世界のいたるところに存在し続けているのだと知った。形として声明が出されてはいるが、それを実行できるのは法でも策でもなくて、民衆の行動だと思った」、「今の日本では考えられないことが世界のどこかでは起こっていると考えると、なぜそうなってしまうのか、なぜ人にそんなことができるのか、僕には到底わかりませんでした。でも、全ての人が持つ人権を守っていく義務が、全ての人にあるのだと思います」といった感想が寄せられました。
3年生は、ファイナルプロジェクト( Final Project)として、体育館で全員がポスターセッションを行いました。これは、各自が地球規模課題に関して設定したテーマをもとに、夏から探究を重ねた成果をポスターにまとめたものです。新しい学びの伝統を築くことができた取り組みとなりました。生徒からは、「準備の大切さを実感しました。質問には根拠を持って答えられるようにしていくべきでした。自分の意見ではなく、事実をしっかり説明することの大切さを知りました」、「発表することで、自分のポスターの欠点が分かり、他人に話すことの大切を学びました」といった感想が寄せられました。
2017年02月18日実施
最初に、体育館でポスターセッションを行いました。これは、3年生が取り組んできたファイナルプロジェクト(各自が地球規模課題に関して研究テーマを設定し、探究を重ねたもの)を、1,2年生に披露するもので、3年生全員が発表、中には英語でセッションする生徒もおり、大いに盛り上がりました。1,2年生にとっては、これから自分たちが取り組むべき課題について考えるよい機会となりました。
その後、1年生は「途上国の教育援助」をテーマに途上国側と、援助国側に分かれて、模擬教育援助会議を行いました。援助を受ける途上国の人たちの本当のニーズが、援助国政府に伝わっていない現実を学びました。
2年生は「人権」をテーマに「メディアは、積極的に少年犯罪の加害者の実名報道をすべきである。是か非か」という題で人権ディベートを行いました。「知る」権利や少年のプライバシー、報道の自由など様々な角度から「人権」について考えました。
SDGs Card Game
多様なプログラム
グローバルセミナー
全校生徒を対象に、国内外の一流の指揮者・著名人が講演を行います。世界市民としての本物の体験と貴重なお話をいただくことができ、学園生にとって決意を新たにする大切な機会となっています。2015年度は、ハーバード大学名誉教授で世界的な文化人類学者のヌール・ヤーマン博士が来校しました。また、先代林家三平師匠の奥様である海老名香葉子さんは、『残されたひとつの命』とのテーマで、東京大空襲によって戦災孤児となった体験を約70分にわたって講演してくださいました。
イングリッシュキャンプ
創価大学において1泊2日のイングリッシュキャンプを開催します。2015年度は全校より希望者を募り42名が参加。創価大学の外国人講師の先生による4時間の英語授業の中で学んだ技術を活かし、3人ずつのグループに分かれて英語のプレゼンテーションに挑戦しました。また、留学生とも交歓会を行い、たくさんの刺激を受けました。また、創価大学の素晴らしい施設を直接利用できることは、貴重な体験です。
オンライン英会話
Skype(スカイプ)を利用して、フィリピンの英会話講師と約20分間のオンライン英会話を行い、スピーキング力の向上を図ります。全校生徒が学期に2回程度実施。めったにない、1対1の英会話に緊張していても、経験豊富な講師のリードで、セッションが終わる頃には、多くの生徒が少しずつ自信を持って取り組むようになります。
英字新聞
希望者を対象に、Japan Timesの編集長はじめ、多くの一流のスタッフの指導を受けながら、高校背による英字新聞作成プロジェクトを行っています。編集長をたてて編集会議を行い、紙面の割付けや取材、原稿の作成までグループで協力しながら進めます。英語力はもちろん、インタビューやリサーチをはじめとした調査技術や協働して取り組む力も育ちます。